【事件当時の報道だったと思うが、畠山鈴香受刑者が子どものころ長期のいじめ(虐待)を受けていた事が報告されていた。学校での激しい集団いじめは卒業アルバムにまで及んでおり、教師たちは何をしていたのだと、私は怒りを覚えた。鈴香の犯罪は許されないことだが、周囲の人間たちも彼女の心をどれだけ追い込んで壊したことか。こちらも許しがたい事件群だった】


https://bunshun.jp/articles/-/48920
長谷川 博一2021/10/02
source : 文藝春秋 2010年10月号

 2006年春に秋田県藤里町で起きた児童連続殺害事件から、15年が経つ。自らの長女、彩香ちゃん(当時9歳)と、近所に住む米山豪憲君(同7歳)を殺害した畠山鈴香受刑者は、2009年に無期懲役が確定、現在服役中。しかし、2つの事件の本当の動機は語られないままだ。

※本記事は、当時、臨床心理士として弁護団の依頼を受け、畠山受刑者と度々接見し、記憶の再生などに取り組んだ長谷川博一氏による「文藝春秋」2010年10月号の特集「真相 未解決事件35」を転載したものです。(肩書・年齢等は記事掲載時のまま)
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「自分では記憶を取り戻せないので、先生お願いします」
 鈴香受刑囚は意図的にウソをついているのではなく、あるショックな出来事から無意識に心を守ろうとして、その部分の記憶を失う「解離性健忘」です。そして、彼女本人以前の問題として、捜査ミスの連鎖が事件の真相に迫れなかった原因です。そもそも「お母さんも事故の方が気が楽でしょ」と彼女に言った秋田県警が最初から本格捜査をしていたら、第二の事件は起こっていない。そして、豪憲君殺害を受け、遡って捜査した彩香ちゃんの事件で、大沢橋から突き落としたとする調書は明らかに作文です。鈴香受刑囚の記憶がないだけでなく、私が現地で会った複数の目撃者は全員が調書のストーリーを疑っています。
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