(2014/12/10 記)-更新

新宗教の教祖、大川隆法(改名前の戸籍では中川隆)の著書、『仏陀再誕』
初版は1989年。 幸福の科学出版
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=175
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2500-2600年ほど前、インドでダルマ(法)を説いていた釈迦・ゴーダマは、
「仏陀は転生しない」ということを、くどいほど繰り返し教えて死んだ。
それをひっくり返したのが「幸福の科学」教祖・大川隆法氏
彼は過去世(過去の人生)で自分は釈迦だったと、トンデモナイことを言っている。

でも何となく、「仏陀再誕」という響きはカッコイイ感じがしないではない。

書籍のタイトルとしては、内垣日親氏による前例がある。
ヴェーダーンタ文庫で昭和32年と33年に、旧字だが「佛陀再誕」を発行している。
いまどきの言い方をすれば、大川氏はこの書名をパクったように思える。

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内垣氏は日本ヴェーダーンタ・ソサイエティ会長だった方で、哲学の博士号を持っていたらしい。では、なぜこういうタイトルにしたのだろうか。
仏教界で「仏陀」(ブッダ)といえば、一般には仏教の教組・釈迦のことをさす。だから仏教教義的にはありえないことである。
しかし発祥のインドでは悟りを得た人、覚醒した人といった意味合いであり、バラモン・ヒンドゥー的には固有名詞ではない。仏陀は何人でも存在することになっている。

内垣氏が言う仏陀とは、故人となったインドの宗教家、ラーマ・クリシュナ氏のことだった。
もちろん内垣氏が崇敬していたブッダということであって、釈迦が再誕したということではない。

長年何かを言い張り続けると宗教教義として後世に残ることもある。
たとえば、キリスト教のイエスが人類の救世主であり、神だったとか。

ラーマ・クリシュナはそこそこ世界の宗教界で知られているようだが、
オオカワ・リューホーの名は今後どのように伝わるのだろうか。
偉大なるブッダとしてか、ただの自称仏陀、あるいはちっちゃいカルト教組としてか。