DNAを分析すると、生物の進化の歴史をたどることができる。それは人間でも同じこと。人間の細胞にある「ミトコンドリアDNA」というモノを扱って、インカ帝国のミイラや日本人の古い人骨などからそのルーツを解明しつつ、人類の歴史や「人間とは何か」を問い続ける篠田謙一先生の研究室に行ってみた! (文=川端裕人/写真=藤谷清美)


 まずは、現生人類の母方の祖先をどんどん辿っていったらたった一人の共通の祖先に行き着く、いわゆるミトコンドリア・イヴの話。

 ミトコンドリアDNAの突然変異の発生率と、現在の人類のミトコンドリアのDNAの多様性を考え合わせると、だいたいの時代がわかるという。篠田さんによれば──

「実はせいぜい15万年とか20万年前なんです。これは人類史の観点からは、非常に新しい時代です。人類は700万年前ぐらいにゴリラ・チンパンジーの共通祖先から分かれて、アフリカ大陸を出たのが200万年前ですね。それ以降、世界の各地で、旧人ですとか原人とかいわれるグループが出てきます。世界の各地の人たちはそこから独自に進化して、今の人類になったんだと、20年ぐらい前は考えられていました。これが正しいとすると、人類の共通祖先を探していけば、100万年、200万年前に戻っていくはずなのに、ミトコンドリアDNAの分析で、実は10分の1の歴史しかないということが分かったわけです」
続き https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120306/301473/